街は商業施設や、学校、公園などあらゆる生活の機能が
徒歩圏内に備わっています。
荒田地区も密集地で様々な施設が
混在している地域です。
便利な反面、土地の規模が小さかったり、
目の前に大きな建物が建っていたりするため、
どのように安心できる家を作るかが
とても大切になってきます。
この模型は、荒田地区に計画中の建物です。
27.7坪の敷地を最大限利用して
駐車スペースと居住空間、
さらには少しの緑も暮らしに取り込みたい。
そんなご家族のための家です。
スケッチでは敷地の調査で構想した案を
クライアントさんとの打合せで描いたものです。
駐車スペースと二階ダイニングをつなぐ間に
中二階を挟んで家全体をスキップフロアとしました。
前面道路向かいにはマンションも建っているので
見下ろしを防ぐために道路側前面には格子を設置
その内側に庭を設けて木を植えるスペースを確保しました。
どのフロアからも格子の内側に立つ樹木を
眺められるように、
小さな坪数の敷地の中でも
視線が抜けて大きく空間を感じられるように、
間取りを組んで、
壁を配置しています。
百聞は一見にしかず。
見学会を行わせていただきます。
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下の写真はこの家を決定付ける部分です。
向こうが抜けて見えるので、空間を広く感じるための工夫で、一部屋でも二部屋分くらいの広がりを感じると思います。
どのフロアに居ても倍の広さを感じます。
下荒田のスキップフロアには格子が使われています。
何故格子を使うのかというと、
街中の暮らしでは、道行く人の視線が気になるもの。
京都の建物を想像してみてください。
道には歩行者が大勢行き来します。
現代の車ではなく、ゆっくりとした移動スピードです。
京都の通りに面した建物は大勢の歩行者にのぞかれる運命です。
ではどうするのか。
格子です。
視線をやわらげ、昼間外が明るい時は、
中が暗くて、歩いて動いている分にはほとんど中が見えない、
となります。
昔ながら、往来からの視線の問題はあったことでしょう。
こんな建物を見たことがあります。
愛知県の大学敷地内にある建物です。
吉村順三さんという建築家の設計です。
大規模な建築に格子を発展させるとこんな作り方もあるんだと。
昭和のモダニズム建築にはルーバーがかなり使われていました。
その原点は京都の格子でしょうか。
では京都の格子の始まりは?
いつか突き止めます。
というわけで時代をこえて、現代の住宅にも格子は有効に働いてくれます。
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市街地のコンパクトな敷地で一本でも樹木を眺めたり、その木陰で休んだりするスペースがあると、その一本の樹木が暮らしの中で大切な役割を果たしてくれると思います。下荒田の家はスキップフロアになっていて、2階にダイニングキッチン、2.5階にリビングを配置してどちらの部屋からも、その一本の樹木を眺めることができるように窓を設けてあります。
その樹木は玄関のアプローチの途中に植えこまれるので、家族が家に帰ってきたときに樹木の近くを通って家の中へ入れるような動線計画としています。
6mの高さを持ち、枝が開き過ぎていない樹形のものを持ってこようと考えています。