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家と納まり

こんにちは、谷です。


空間の中で素材と素材がぶつかる接点のことを、建築の言葉で「納まり」と言います。
納まりは空間の印象が変わる大事な考え方です。

「空間がべらぼうに良くてディテールはアウト、という建築は少ない」
と言ったのは建築家の宮脇檀さんです。

「納まり」が沢山集まって(物と物のぶつかり合う構成)が空間を形作っていますが
その逆も然りで、
大きな空間の性格が納まりを決定づけるという事を表している言葉だと思います。


家が建つときには

・場所(土地)
・時間(過去、現在、未来)
・住まい手(使い手)

が関係し合って形作られていきます。

三つに絞りましたが、
他にもさまざまな無数の星のように数え切れないことが関係し合って家が建ちます。
その中で「あなたはこっち」、「きみはそこ」、「えーと、そこのあなたはここ」と
整理をしていくことが設計なのではないかと思っています。
というよりも、全体が整理がされたものを、
ポンと眼前に表すことが設計なのではないかと思います。

これらの項目は一言でいえば家の「成り立ち」かなと。
ある場所に、どんな時間の中、どういった具合で使われるのか。
そもそもそこの場所に家が必要か。
そもそもこの時代、時期に家が必要か。
そもそもこの家族には家が必要か。
この質問自体は家をつくることを生業としている以上、
「建物が必要」でなくてはいけませんが、考え方のスタート地点として。笑

その成り立ちの中で、家の性格は変わってきます。

街なのか郊外なのか、田舎なのか。
周辺に建物があるか、人の通りはあるか。
庭があるか、眺めはいいか。

周辺環境(建築家の吉村順三さんが「サーカムスタンス」という言葉で表現したであろう意味合いで)の中で

外向きの家なのか
内向きの家なのか
囲い気味の家なのか
開き気味の家なのか
明るい、暗い
柔らかい、硬い

という性格のようなものが見えてくると

広さ
間取りのつながり
窓の向き

のように、形が生まれてきます。
間取りで言えば、
眺めの良いソファの場所が決まったり、
朝日の入る食卓の位置が決まったり、

1枚の背中を預けられる壁がまず生まれたり
1つの安心感をもたらす箱がまず生まれたり
活動を伸びやかにするフラットな床面が敷地に敷かれたり。
そうすると、その場所に家の大まかな外形が見えてきます。

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形よりも先にどんな暮らしがその場所で営めるか。
あるいは暮らしと家の形は同時に生まれるのが自然ではないでしょうか。

形が先立つことはあまりないようです。
このときのこれらの一番最初の暮らしのイメージや形が、
ディテールに反映されている建物、つまり一番搾りを大切にした空間は
ストレートに居心地につながってくるように思えます。

細部のようで全体であり、
全体のようで細部がある。
木だけが見えることはなく森も見える。
そんなことが「納まり」であるようです。

by vegablog | 2018-02-18 06:49 | [谷blog]  | Comments(0)